2026年9月28日
企業の経営において、決算で赤字を計上することは珍しくありません。
赤字決算となったとき、法人税について不安を感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、会社の決算で赤字が出た場合に法人税がどうなるのかや、利用できる優遇措置などについて解説します。
会社の決算で赤字が出た場合に法人税はどうなる?
結論から申し上げますと、会社の決算で赤字が出た場合、原則として法人税の本税は課されません。
なぜなら、法人税は会社の所得に対して課税される税金であるためです。
赤字決算で所得が発生していないのであれば、法人税が課せられることはありません。
ただし、企業の規模に応じて一律で課される法人住民税の均等割および法人事業税の資本割等については、赤字決算であっても免除されません。
均等割は、企業が地域社会の行政サービスやインフラを利用していることに対するコストを負担する制度であるため、会社の業績が赤字だとしても、一定の金額を納付しなければならないのです。
たとえば、資本金や従業員数等の規模が小さな中小企業であっても、地方自治体に対する均等割の合計として、年間で最低7万円程度の税金を納める義務が生じます。
つまり、決算で大きな赤字を出して資金繰りがひっ迫している状況であっても、均等割の納税資金は必ず確保しておかなければならないという点に注意が必要です。
会社の決算で赤字が出た場合に活用できる制度
決算で赤字が出た年度は、法人税の本税が免除されることに加えて、次の優遇措置を活用できる可能性があります。
欠損金の繰越控除
欠損金の繰越控除とは、会社の決算で赤字が出た際に、その赤字を翌年以降の事業年度に繰り越して将来の黒字と相殺できる制度です。
青色申告を行っている企業であれば、発生した欠損金を最大10年間にわたって繰り越すことが認められています。
たとえば、ある事業年度に多額の赤字を計上した企業が、翌年度以降に黒字化を達成した場合、過去の赤字分を差し引いた残りの所得に対してのみ法人税が課されることになります。 これにより、黒字が出た年度の税負担を軽減することが可能です。
欠損金の繰越控除を適用するためには、赤字が出た年度において期限内に適正な青色申告書を提出している必要があります。
欠損金の繰戻し還付
欠損金の繰戻し還付とは、中小企業者等の要件を満たす企業において今年度の決算で赤字が出た場合、前年度にすでに納付した法人税を取り戻すことができる制度です。
結果として、前年度に払い過ぎた分の法人税が税務署から還付されるため、赤字によって悪化した手元の資金繰りを直接的に改善するための有効な手段となります。
ただし、欠損金の繰戻し還付を利用できるのは原則として資本金1億円以下の中小企業者等に限られています。
また、適用を受けるためには適正な青色申告の継続や、還付請求書の期限内提出などを行っていなければなりません。
赤字決算に備えて企業が押さえておくべきポイント
会社の決算で赤字となった事態に備えるために、次の点に留意してください。
青色申告の承認を維持すること
欠損金の繰越控除や欠損金の繰戻し還付などといった税制上の優遇措置は、青色申告書を提出しており、かつ期限内申告であることが適用のための前提条件となっています。
期限に遅れて白色申告になってしまったり、申告を怠ったりすると、これらの制度が一切使えなくなるという不利益が生じてしまいます。
そのため、青色申告の承認を継続するべく、普段から帳簿の記帳や保存などを適切に行っておくように留意してください。
税理士と連携して赤字の根本的な原因を分析する
一時的な要因による赤字であれば繰越控除等の制度などを利用することで補填できる可能性がありますが、長期間にわたって赤字が続いている場合には、優遇措置の利用だけでは経営を回復することは難しいかもしれません。
そのようなときは、税理士と連携して収益性の見直しや資金繰りのシミュレーションなどを行うことが効果的です。
赤字の根本的な原因を分析し、解決を目指しましょう。
まとめ
今回は、会社の決算で赤字が出た場合、法人税がどうなるかや、利用できる税制上の優遇措置などについて解説しました。
会社の決算で赤字が出た場合、法人税の本税は免除されます。
しかし、法人住民税の均等割などは支払わなければなりません。
赤字決算となったときに利用できる制度としては、欠損金の繰越控除や欠損金の繰戻し還付が挙げられます。
これらの制度を利用するためには、普段から適正な青色申告を行っていることが求められます。
赤字決算に対して備えたいとお考えの方や、実際に赤字決算となって対応にお困りの方は、税理士への相談をご検討ください。
