年末調整とは?計算方法と具体的な手順を解説
2026年3月23日
労働者が1年間の間に納めるべき所得税の総額を正しく算定し、毎月の給与から概算で天引きされていた税額との過不足を精算する手続きを年末調整と呼びます。
今回は、年末調整の計算方法や手順などについて解説します。
年末調整とは?
年末調整とは、会社員や公務員などの給与所得者に対し、1月1日から12月31日までの1年間に支払われた給与や賞与の合計額から、本来納めるべき所得税額を確定させることをいいます。
所得税は収入から各種の控除を差し引いた課税される所得に対して課されます。
毎月の給与計算では、その月の社会保険料を差し引いた後の金額を税額表に当てはめて税額を決定していますが、これはあくまで暫定的なものです。
一年の途中で扶養家族が増えたり民間の保険に加入して保険料を支払ったりした場合、それらの控除は毎月の計算には含まれません。
これらを年末にまとめて申請し正確な年税額を算出することで、税金の払いすぎを防ぎ、あるいは不足分を補うことが年末調整の役割です。
年末調整の計算方法
年末調整の計算は、社員に1年間に支払う給与の額を合計し定められた法的な手順に沿って行われます。
1.給与所得控除後の給与の額を求める
計算の最初の段階は1年間に支払われた額面給与の合計額を把握することです。
ここには基本給だけでなく残業手当、役職手当、および賞与も含まれます。
この総額からまず給与所得控除を差し引きます。
給与所得控除とは自営業者の必要経費に相当するもので、年収に応じて法律で一律に金額が定められています。
国税庁が公表している年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表を用いて、給与所得控除後の給与の額を求めます。
また、年収が850万円を超える方で、23歳未満の子どもがいる場合や、本人や家族が障害者であるといった一定の要件を満たす場合は、ここからさらに所得金額調整控除が計算・控除されます。
2. 所得控除を差し引く
次に、給与所得控除後の金額から、個人の事情に応じたさまざまな所得控除を差し引いていきます。
所得控除は、納税者の生活背景を考慮して税負担を調整するための仕組みです。
主な項目としては、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、ひとり親控除などが挙げられます。
また、本人が支払った生命保険料、地震保険料、社会保険料、小規模企業共済等掛金なども、この段階で控除の対象となります。
3. 年税額を計算する
所得控除をすべて差し引いた後の金額を課税給与所得金額と呼びます。
この金額を基にして所得税の額を算出します。
算定の際、課税給与所得金額に1000円未満の端数がある場合は切り捨てて処理します。
この整理された数値に対し、法律で定められた所得税の累進税率を適用して算出所得税額を求めます。
税額計算には年末調整のための算出所得税額の速算表が用いられ、所得の階層に応じた税率と控除額を当てはめて計算する手順となります。
4. 税額控除を適用する
算出された所得税額から、さらに直接的に税金を差し引くことができる税額控除がある場合にはこれを適用します。
年末調整で対応できる代表的な税額控除が住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。
住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入した場合、一定の要件を満たせば、ローン残高に応じた金額を所得税から直接マイナスすることができます。
初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きを完結させることが可能です。
5. 復興特別所得税を含めた最終的な年税額の確定
住宅ローン控除などの税額控除を差し引いた後の金額を年調所得税額と呼びます。
ここに、東日本大震災の復興支援を目的とした復興特別所得税を加算して、最終的な年税額を決定します。
具体的には、年調所得税額に102.1%を乗じて1円単位までの税額を算出します。
そしてこの合計額から100円未満の端数を切り捨てた金額が、その労働者が1年間に納めるべき最終的な年調年税額となります。
6. 還付または不足額の徴収
確定した年調年税額と、その年に毎月の給与や賞与からすでに天引きされていた源泉徴収税額の合計を比較します。
源泉徴収額の合計が年税額よりも多い場合、それは税金を納めすぎていたことを意味します。
この差額は、通常12月または1月の給与の支払いに合わせて、労働者に還付されます。
年末に多くの会社員が手にする還付金は、この精算によって生じるものです。
一方、源泉徴収額の合計が確定した年税額よりも少ない場合、税金が不足している状態となります。
不足額は、労働者の給与や賞与から追加で徴収され、会社を通じて国へ納付されます。
まとめ
今回は、年末調整の目的、計算の具体的な流れ、および還付と追加徴収の仕組みについて解説しました。
年末調整の時期は繁忙期に重なることが少なくありません。
経理が不足していたり、担当がいなかったりなど、不安な場合には税理士に相談することを検討してください。
